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男と女で思考が違う?大好きな人と行くゴルフ

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ゴルフにはさまざまな楽しみ方がある。
とくに「大好きな人と行くゴルフ」は
誰もが楽しい時間を過ごしたいと思うし、そう願う。
だけど、ここに男女の思考の差によって生まれる
“食い違い”が若干発生するのも事実。

今回話を聞いたのは「大好きな人といつでもどこでも一緒にいたい」その一心でゴルフを始めた、というイタリア出身のロザンナさん。彼女が初めてゴルフにトライしたのは今から50年ほど前の20代に入ったばかりの頃。歌を歌うために17歳で来日し、彼女がのちに“大好きな人”と語り、旦那さまとなるヒデさんと1968年に「ヒデとロザンナ」を結成。「愛の奇跡」「愛は傷つきやすく」など数々のヒット曲を生み出した、その頃の話だ。


“付き合っているのか、いないのか”は、微妙なタイミング。でも彼しか見ていなかったロザンナさんは『とにかく一緒にいたい』『仕事も何もかも一緒にしたい』という気持ちでいっぱい。ヒデさんが大のゴルフ好きだったことから一念発起し、ゴルフを始めた。

で、実際のところ
「大好きな人と一緒に行くゴルフ」は
どうだったのか。

「全然楽しくなかった。だって怒られるし、走らせるし、『お前何回言えばわかるんだよ』って言われるし。でもそう言われると腐っちゃうんですよ。いくら言われても、わからない時はわからないから」。

では「どうしてもらえば『大好きな人と一緒に行くゴルフ』が楽しいものになったと思う?」と聞いてみると、1度だけ「すごく楽しいラウンドがあった」と話してくれた。

「子どもの学校の先生とちょっとしたミニコンペを開催したんです。そのとき、うちの夫は普通に優しかったの。『今のすごくよかったねー!』と、肩を組んで褒めてくれたり。褒められると伸びるんです。もっと褒められたいからがんばるんです」。

しかし、ロザンナさんに「この日と同じような“ヒデさんとの楽しいラウンドの1日”」が訪れることはなかった。このミニコンペのあと、ヒデさんは病気で若くしてこの世から旅立ってしまったからだ。1990年のことだった。

「でもね、今思うと彼はやっぱり私にはうまくなってほしかったんだろうなって思うんです。あとは『お前がついているのになんであんなに下手くそなの?』って言わせたくなかったっていうのもあるかもしれない(笑)」

ゴルフは最高に楽しい!
子育て時代を経てゴルフに復活

ヒデさんとの間に恵まれた3人の子どもたちとの生活と仕事、ロザンナさんも多くの子育て世代の女性と同様、ゴルフから距離を置くようになった。「仕事があるから子どもと離れる時間があるじゃないですか。お手伝いをしてくださる方だったり、母に預けて仕事にいくんだけど、帰ってきてゴルフに出かけるなんて、なんか子どもたちが可哀想でね。だから結局、みんなに誘われても『私はいいや、家にいるよ』って」。

それから時を経た今、「ゴルフは最高に楽しい」とロザンナさんは言う。3、4年前、コンサートの合間に歌手仲間に誘われたのをきっかけに、ゴルフを再スタート。「私、70少し前にやっと“ゴルフ”を見つけたって感じがする。『なんでこんなに上手く行かないんだ!』ってたまに腹が立つけど、仲間とくだらない話をしながら楽しんでいると、本当に忘れるんです。いろんなことをね」。

「それとね、やっぱり当たったときのあの感覚がいい。ひとつでも『気持ちいい、楽しい!』と感じられれば、もう最高。あとはどうでもいい。関係ないのよ、スコアとか。楽しんで、人に迷惑さえかけなければいいのよ。スコアがまとまらなくてイライラすることもあるけど、そこをなんとか乗り越えて。イライラしてしまうと仲間にも不愉快な思いをさせてしまうから、私も自分に『ロザちゃん。ダメよ』って、言い聞かせてる。私がヒデさんのところに行ったとき『上手くなったな』『本当に楽しそうにゴルフをするな』って思わせたいし、やっぱり一緒に楽しくゴルフしたいじゃない?(笑)」。


男性は「技術があがればもっと楽しくゴルフができる」だから「もっとうまくなってもらいたいし、うまくしてあげたい」「自分以外の人と回った時に『うまい!』と言われたら、彼女はきっといい気分になれるだろう」そんな気持ちから細かく指導する。その相手が“大切な女性”であればなおさらだ。せっかちな人であれば、必死になりすぎるあまり「なんでうまくできない!?」と感情がおもてに出て、言葉尻が強くなってしまうこともあるだろう。

一方女性が「大好きな人とのゴルフ」に求めるものは「ゴルフをとおして過ごす“パートナーとの楽しい1日”」。「一緒に楽しくゴルフしたい」「なかよく回りたい」。「うまくなりたい」という気持ちはもちろんあるけれど、それがすべてではない。もちろん彼が細かく言うのも、イライラするのも「私にうまくなってほしいからだ」というのは頭ではわかっている。だけど、これは女性が想定する「ゴルフをとおして過ごす“パートナーとの楽しい1日”」に含まれていないことが多いはず。

客観的に見てみると、男性・女性、両方の気持ちに「なるほどなぁ」と感じる部分はあるけれど、自分のこととなると「あぁ、頭にくる!」と冷静に考えられなくなることも多い。そんなときは一呼吸。何事もそうだけれど、相手の気持ちに歩み寄り、寄り添えば「大好きな人と一緒に行くゴルフ」は、もっと楽しく、よりよい時間になっていくかもしれない。


ロザンナ
歌手・イタリア家庭料理研究家。イタリア出身。音楽学院を卒業と同時にグループ歌手として来日。その後「ヒデとロザンナ」を結成し、昭和43年のデビュー曲『愛の奇跡』をはじめ、数々のヒット曲を世に送り出した。現在もテレビ・ラジオ・ディナーショー・各種講演など幅広く活動を続け、イタリア家庭料理研究家としても活躍中。


写真=高橋淳司
協力=大厚木カントリークラブ 桜コース